選定する際の考え

先月私が運営するEmpty DressyをLINEで自動化させるフルリニューアルをするに当たっては、以下の2点を考慮し、IntegromatやAirtable、Shopify、Webflowを選定しました。

  • 時価総額は高いほど良い
  • 学習コストは高い(難しい)ほど良い

時価総額は高いほど良い

時価総額は収益性や継続性、投下資本の観点から、高いほど良いと思います。

収益性

上場未上場問わず、時価総額が高ければ高いほど、基本的に投資家は、将来のより多くの収益を見込んでいるということになります。

第三者がより多くの収益を見込んでいるということは、それだけ潜在的なユーザーが多いと考えているからであり、自分でもお金を払って満足する可能性が高いということを示唆していると思います。

継続性

そして、収益性が高いということは、サービスが停止する可能性が低いということです。

何かのプラットフォームに依存する以上、当面そのサービスが継続するという確信が持てない場合、停止した際の移行コストや代替サービスで初期から開発し直すコストを考える必要があります。

投下貸本

時価総額が高いということはそれだけプロダクト開発に投資ができるということでもあります。

時価総額が高ければ、当然そのプロダクトに対して優秀なエンジニアやデザイナーをより多く参加させることができるので、より良いプロダクトが生まれる可能性も高いでしょう。

学習コストは高いほど良い

競合サービスと時価総額に大きな差がないにも関わらず、どちらか一方の学習コストが高いと感じる場合、私はあえて高い方のサービスをまず使うようにしています。

特にグローバルに展開されているサービスの場合、基本的には同規模の競合がいることが多く、いずれかのサービスが分かりやすいと感じる多くの場合では、学習コストを下げるために、機能が少なかったり、ある機能までのステップが多かったり、他の代償を支払っていることが多いと感じています。

また、ある程度の規模感で普及しているサービスは、一見難しいと思えたとしても、1日集中すれば慣れてしまうことが多いという経験則もあり、数年利用するつもりのプラットフォームに対しては、ある程度の複雑性をむしろ歓迎るべきだと考えています。

日本語化も同様の理由で基本的には不要だと考えています。

Shopifyの規模になっても日本語と英語の情報格差は大きく、カスタマーサポートの回答スピードも全く違う中、多くのそれよりも小さいサービスに日本語で馴染んでしまうと、積極的に情報を取得する際のコミュニケーションコストがむしろ高くなると思います。

したがって、グローバルなツールは端から英語で勉強をするべきで、管理画面が日本語化されているという安易な理由でそのツールを選定するべきではないと思います。

選定したツール

以上の考えに沿い、iPaasとDB、EC、Webに分け、それぞれどのように選んだかを書いていきます。

規模の★は、以下のような基準ですが、公開されていない情報もあるので参考程度に考えてください。

  • ★★★:時価総額が10億ドル以上と思われる
  • ★★:時価総額が数億ドルと思われる
  • ★:時価総額が1億ドル未満と思われる

学習コストの★は、規模以上に主観的ですが、ツールが想定する一般的な使い方をできるようになるにはどのくらいかかるかといった観点から、以下のように考えてみました。

  • ★★★:ほぼ勉強しなくてもいける
  • ★★:1日あれば大体いける
  • ★:結構気合い入れる必要がある

iPaaS

iPaaS系のツールで投資家から最も評価されていると思われるものはZapierです。

創業直後に1度調達して以来、追加調達をせずに自らが生み出すキャッシュを元に拡大を続け、2021年1月には、追加調達という形ではなく、40億ドル以上の評価額で創業者の持分をVCに売却するという、あまり見ない超優良企業です。

競合であるIntegromatも、1度も調達をしないまま今の規模になり、2020年2月にはプロセスマイニング世界最大手Celonisに、数億ドルの評価額で売却しています。

親会社のCelonisは、2021年3月23日にプレスリリースで時価総額が48億ドルになったということを(なぜか)表明しているので、ともに規模感としては安心できるでしょう。

IFTTTはサービスとしてのピークを過ぎている感があり、Anyflowは国内マーケットを対象としている印象があったので、ZapierとIntegromatを触ることにしました。

両ツールを触り、また、日米のブログやYouTubeを見ると、「Integromatの方が難しいけど多機能という点で玄人向け」というのは共通認識でした。

Empty Dressyの場合は、開発時点では仕様が固まっておらず、開発を進めながら仕様を決めていくという方針であったため、多機能と思われるツールを始めから選択する方が、後戻りする可能性が低いと思い、Integromatを採用しました。

DB

AirtableはGoogle Sheetsと比較されることがあり、ともにiPaaS系のツールと繋ぐこともできます。

それぞれの会社の規模も申し分ないのですが、Airtableの方が、テーブル間にリレーションを持たせる等、よりDBとしての利用が想定されており、色々なビューを組み合わせることで、管理システムへも拡張し得ると考え、採用することにしました。

EC

ECでは、グローバルに展開するShopifyや、国内で人気のBASE、Storesを検討しました。

Webの方で紹介するWixやWebflowでもEC機能を持たせることはできますが、下記のAPIや決済に加え、ECはオプションである以上、ユーザー・注文管理機能が弱そうだったので、実際に試すまでもしませんでした。

決済

クレジットカードを除く決済機能については、ローカル色が強い領域でもありますが、決済手数料や対応決済手段等、総合的に考えるとShopifyとSTORESが、BASEより良いと思います。

クレジットカードはShopifyが3.4%に対し、STORESが3.6%ですが、STORESの場合は、翌月後払いやキャリア決済までが3.6%となっているのが特徴です。

BASEは最近Amazon Payにも対応しましたが、決済手数料で「3.6%+40円」かかる他、サービス利用料として追加で3%かかってしまうので、あくまで個人商店が手軽に始めるためのサービスという印象を受けました。

API

Empty Dressyでは、決済後に鍵を発行する必要があるので、Webhookで決済完了を通知してくれることが必要でした。

BASEでもAPI自体は提供しているのですが、Webhookはありません。

STORESのAPIは、店舗情報登録や売上情報の取得しかできないとのことだったので、この時点で選択肢からは外れてしまいました。

ページカスタマイズ

STORESやBASEはあくまでテンプレートをベースに、彼らが想定する編集箇所のみをカスタマイズできる仕様になっています。

一方、Shopifyも基本的にはテンプレートをベースにしているものの、カスタマイズ箇所が圧倒的に多く、HTMLやCSS、JavaScriptも自由に編集できるので、決済やAPIを含めたあらゆる点で、Shopify一択でした。

Web

当初はEC機能として使うShopifyでWebサイト全体を作ろうとしたのですが、海外の事例で多くWebflowが使われていることを知り、少し調べてみました。

リニューアル前まで利用していたWordPressでは、主に以下の問題を抱えていました。

  • サイトスピードがサーバーにも依存してしまうものの、私自身サーバー周りの知識がない
  • 簡単なHTMLやCSSの修正ならば容易だけれども、大きな変更にはPHPが必要
  • プラグインを入れるほど遅くなり、また、プラグインの保守が行われていないとサービスに支障をきたしかねない

Wixやペライチは、初学者をかなり意識している感じでしたので、試すこともしませんでした。

Bubbleは色々なことができるという触れ込みが多かったものの、実際にBubbleで構築されたアプリケーションを触ってみると、とても遅く、メディアの機能やtoCサービスには厳しいと感じました。

実際にWebflowとStudio、Bubbleのそれぞれで、簡単なサイトを作成し、PageSpeed Insightsでも確認しましたが、Webflowが圧倒的に速く、Bubbleが圧倒的に遅かったです。

Bubbleは汎用的なことを通常のコーディングとはかけ離れた構造で実現させるために、開発サイドで考慮する必要のある項目が多岐に渡り、結果的にシンプルなサイトでも遅くなってしまうのではないかと思いました。

その結果、あらゆる用途に中途半端になり、投資家からも大きな評価をされていないという印象を持っています。

StudioはWebflowを意識していると思われ、日本語であり、デザインも分かりやすいと思います。

ただ、やはり規模が全然違うので、少し触ると、Webflowの方が適していると思うようになり、Webflowを選択しました。

以上の流れで、IntegromatやAirtable、Shopify、Webflowを選定しました。

調査段階でかけられる時間は限られると思うので、投資家の目利きを信用してみるのもいいのではないか、という考えでした。